舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(94) 京都市内の学生野球サークル・メンバーV (十二打目)
「悪い奴の打倒」
「カレホ」の顔は決意に満ちている。
が、確認すべきことがある。
「どう悪...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(94) 京都市内の学生野球サークル・メンバーV (十二打目)
「悪い奴の打倒」
「カレホ」の顔は決意に満ちている。
が、確認すべきことがある。
「どう悪いかによる。」
「まず、裏切者」
「裏切っでナンボ、だろ。
最近も、豊田市の自動車メーカーでもクーデターがあった。」
「横領」
「横領された奴が悪い。内部統制杜撰だから、横領される。」
「カレホ」の顔が曇った。
「………………相撲とサッカーのファン」
「よし、打倒だ。」我らは、球児だっ。
「カレホ」の顔が緩んだ。
「なら、入れ。靴のままで」
なので、すりガラスの引き戸、その向こう側へ入った。後戻りは……できないだろう。
もう。
すりガラスの引き戸、その向こう側は、廊下。布団を敷けるかどうか怪しい程の狭い廊下。いつの間にか点灯しているトップライト、薄暗い。が、左側を照らすには十分な明るさ。
左側には、ゴツいベストがずらり。
「PMC御用達の防弾防爆ベスト。」と「カレホ」は、その一つを手に取り、着用し始めた。
こんな分厚いものを着るのか。夏なのに……。
「クーラー機能付き……」と「カレホ」の言葉。
さっさと着るぞー。
着た。
全然ヒンヤリしない。
「カレホ」は、
「……のオプションも付けられる。」
と続けた。
「そのオプションは、何処にある」
「カレホ」は、奥の引き戸を指さした。
「虎? 」
奥の引き戸に、写実的な虎の絵。
「蛍光ピンクだけで、虎?」
「カレホ」は、そこそこ高名な漫画家の名を挙げて、
「ピンクの対価。巻き上げ放題。」
と。
そういえば、そこそこ高名な漫画家は今年春に、射殺体で発見。しかも、下宿近所の道端で。
その割に、実況見分は随分とあっさりだった。
「府警の一部も、協力している。」
(つづく。)