舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(84) 京都市内の学生野球サークル・メンバーV (二打目)
長袖・長ズボン・長身の人が四人。
車両侵入禁止用のポールの如く、立っている。四人とも、ヘルメット被って、手には...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(84) 京都市内の学生野球サークル・メンバーV (二打目)
長袖・長ズボン・長身の人が四人。
車両侵入禁止用のポールの如く、立っている。四人とも、ヘルメット被って、手には小銃。服は砂漠っぽい迷彩柄。足元はゴツい靴。
その四人の向こう側から、聞き馴染みのある声。
「野球がしたいだけなんだよぉ」
通称「カレーホリック」(以下、「カレホ」と略す)が、別の長袖・長ズボン・長身の人二人に取り押さえられていた。「ゴショ」公園の砂地に、タヌキみたいな顔を擦り付けられていた。
朝五時に「野球しようぜ」と言い出した奴。
因果応報。
そのそばで、自転車が、倒れていた。前かごに、グローブ、ボール、手ぬぐいだけ。バットは、さらに別の長袖・長ズボン・長身が手にしていた。
「襲う目的だったんだろ?」
と言いながら、タヌキみたいな顔を、つま先でツンツンしている。
因果応報……の域を越えている。しかし、小銃の弾は打ち返せる自信は、ない。
なので、近付かずに、大声を掛けた。
「今日の練習は、同志社のグランドだろ。ゴショ公園じゃないぞ。」
地裁前のメガホン声が、ピタリと止まった。絶対、この大声のせい。
数秒の間を経て、取り押さえていた二人が退く。つま先でツンツンしていた者が舌打ち一つ。しかし、自転車を起こし、バットを前かごに入れる。
「カレホ」は、何も言わず、自転車の向きを変え、手で押し、長袖・長ズボン・長身たちに背を向け、こっちに来た。
「カレホ」の顔は、砂だらけ。
しかし、「カレホ」は、砂を払わぬまま、自撮り。
「証拠保全になるだろ?」と、「カレホ」は小声で尋ねてきた。
「ない、よりはまし。」という天然の大声で、地裁前のメガホン声をまた、止めてしまう。
が、気にせず、尋ねた。
「何があった?」
(つづく)