舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(72 )司法修習生T (三本目)
いや、情状証人は右の義足を外した。
そして、情状証人はその義足を、天高く突き上げた。
判事たちも、検事も、弁護人も、義足の先の靴...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(72 )司法修習生T (三本目)
いや、情状証人は右の義足を外した。
そして、情状証人はその義足を、天高く突き上げた。
判事たちも、検事も、弁護人も、義足の先の靴に注意が移っていた。書記官は、デスクに視線を落としたまま(流石。自販機前で、「感情殺して仕事してる」と言った通りの生き方)。
が、情状証人の袴の下を見ると、実物の右足(靴付き)がそっと登場。
裁判長・下津健司は「証人は――」と注意の声を上げようとした。
が、情状証人は、義足を裁判長・下津健司に向け、叫んだ。
「いけっ!」
傍聴席を見れば、ギブスは銃器に、松葉杖は短槍に、杖は刀剣に化けていた。
ヤバいっ!
修習生席の下へ身を隠して、ハラスメント対策用のICレコーダーを確認。ちゃんと録音してた。
顔を出しては邪魔なりそうだから、悪いし、けど、けど、、、こんな決定的な場面、せめて音声だけでも。記録せずにはいられない。
これって、やっばり、親譲りの気質かな。
ていうか、さっきの「いけっ!」は、絶対に「逝けっ!」に、間違いない。
後で確認しよっ、と。
(もちろん、つづく。)