舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(62 ディレクターS(2ロール目))
「釘で打ってありますよ。あの箱。」
新人アナウンサーはさらに続ける。
「しかも、十か所以上。」
一瞬見ただけなのに、...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(62 ディレクターS(2ロール目))
「釘で打ってありますよ。あの箱。」
新人アナウンサーはさらに続ける。
「しかも、十か所以上。」
一瞬見ただけなのに、よく覚えてるなぁ。
「十六箇所です。」
と、報道部長もどき。
親切な指摘、報道部長と大違い。
「ADスナフキ、」
「砂岡ですっ。」
「切るもの、買ってこい。」と、ホームセンターを指さした。
ADスナフキはホームセンターへ駆けていく……あっ、こけた。まぁ、買い物くらいできるだろう。領収書の局名、他局と間違えるなョ。
風が出てきたなぁ。
営業部長もどき、もとい、使者さんに近付き、頭を下げる。
「なぜ、我が局に声をかけて下さったのでしょうか。」
使者さんは、一礼の上、答えた。
「運命の糸、でしょう。」
あーッ、厄介なタイプだッ。
確認すべきことがあった。
「お顔は撮影しても、宜しいでしょうか。」
「お断りする。姿も、バイクも。」
「お名前は――」
使者は口に人差し指。
中指、立てたくなったッ。
めげすに尋ねる。
「なぜ、神宮からの木箱を運んでいたのですか。」
「皇學館専任理事からの……職務命令です。」
何だァ、今の間は?
新人アナウンサーがメモを取っている。流石ッ。
使者は続ける。
「神宮の社務所で神主から桐箱を受け取り、公共交通機関を使わずに、宮中、正確には、侍従長に届けるように、と。昨日夜十時頃に。
今朝、八時頃、神宮の社務所で神主からこの桐箱受け取り……一号線沿いにここまで走って来ました。」
何かァ、引っかかるなぁ。
(つづく)
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