舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(61 ディレクターS(1ロール目))
おいおいおい、ホントかよ。
スクープが飛び込んできたヨ。
報道部長からの電話がホントなら、近くに、電動バイクの乗ってきた使者...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(61 ディレクターS(1ロール目))
おいおいおい、ホントかよ。
スクープが飛び込んできたヨ。
報道部長からの電話がホントなら、近くに、電動バイクの乗ってきた使者が、伊勢神宮から皇室宛ての木箱を、持っている……はず。
ぐるりと見まわすと、……いた。
電動バイクの前で、革ジャンで武装して……報道部長に似てて、怖そうな顔だなぁ……それで、木箱持ってる。
電話の相手・報道部長に伝える。
「……いました。いました!」
報道部長の命令は、
「今すぐ、局に連れてこい。」
しかし、
「これから、ホームセンターさんで『珍品百選』の撮影があるんで――」
「そんなもの別日でいいだろ。」
「ホームセンターさんに申し訳ないっすョ。」
報道部長は四の五の並び立ててる。
……手柄、取るつもりか。
ならば、、、電話を切った。
スタッフ一同に言った。
「予定変更。まずはこれから、あの方」と報道部長そっくりさんを指さす。
一同、指さした方を向き、ひきつった顔つきで、軽く頭を下げる。
報道部長もどきは、深く一礼。報道部長と違って、礼儀正しい。
スタッフ一同をこちらに向かせて、続ける。
「あの方が持っている木箱を開けて、その中身をリポート。その様子を収録する。収録したロールは、ノーカットで局に素材を送れ。
以上、準備に――」
しかし、新人アナウンサーは疑問提起。
「台本は?」
「全部、アドリブ。」と、突き放す。
「え?」
「初取材で悪いけど、放送研究会時代にやったことあるだろ。」
「まあ、そうですけど……」
「何とか、なるからッ。」
だって、報道されるときには音声、バッサリとカットされるだろうから。
文面映れば、OKじゃん。
「ということで、準備に――」
しかし、新人アナウンサーがまた、疑問提起。
(つづく)