舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(56 神宮の使者R(二走目)
電動バイクのドリンクホルダーに、カフェイン満タンの水筒を差す。
捨てられないから、真夏なのに革ジャンを着て、ヘルメットを被り、電動バイクをまたがる。&...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(56 神宮の使者R(二走目)
電動バイクのドリンクホルダーに、カフェイン満タンの水筒を差す。
捨てられないから、真夏なのに革ジャンを着て、ヘルメットを被り、電動バイクをまたがる。
あんな桐箱に縛られているから、こんな……無駄な移動をしている。
電動バイクを起動する。ヘルメットのシールド下部に、速度メーター、電池残量、今日の走行距離が表示される。
速度メーターは、奥に伸びる棒グラフ。当然、速度ゼロ。
電池残量は、約八割。前夜、松阪で充電していたから。今日の走行距離は、松阪から、神宮経由、フェリーまでの距離。
距離を見ると、身体が重くなる。
目的地までの距離は、この数倍。
……まぁ、明日までに着けば、万々歳。
ヘルメットのシールド上部に、ニュースが流れてい。
「天皇、意識不明」
AIヘルメットに命じる。
「ニュースを表示するな。」
天皇(の文字)が消えた。
たとえ今日明日にくたばったとしても、どうせ、誰かが、誰かを、天皇に担ぐ。
誰かが天皇役を果たせば、日本丸く収まって、神宮は安泰。
誰でもいいんだよ、誰ても。
フェリーから車が数台、下りる。
最後の一台に続いて、電動スクーターを走らせる。
遠い、遠すぎる。
(つづく)
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