舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(43 ハッカーPの場合(五口目))
『東大への侵入に対して、警察の妨害が激しい。』
「仕掛けA」を動かす。
『だから、目くらましを付けてほしい。東大へのアクセス権限を行使し...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(43 ハッカーPの場合(五口目))
『東大への侵入に対して、警察の妨害が激しい。』
「仕掛けA」を動かす。
『だから、目くらましを付けてほしい。東大へのアクセス権限を行使しやすくする為、アフターサービスとして。』
『幾ら出す?』
なので、カマを掛ける。
『こっちは莫大なカネを渡した。オマケくらい付けろ。』
数秒後、返信。
『幾ら出す?』
えっ。
あっさり引っかかってきた。
『オマケくらい付けろ。さもないと、その端末、使用不能にするぞ。』
そして、「仕掛けB」――端末キーボードのキー配列を全て変え、十秒後に、キー配列を元に戻し、更に十秒後、キー配列を全て返る、という動作を繰り返す――を動かす。
「仕掛けB」は、キー配列変更中である旨の注意を画面全体に表示し、キー配列が元に戻れば、注意表示は消える。
要するに、「仕掛けB」は、厄介かつ古典的な嫌がらせプログラム。早々見つけられない場所に仕込んでいる。
三分後、「仕掛けB」を停止。
『皇居内ネットワークへのアクセス手段は手に入るか。』
勿論、宮内庁ではない方の。
『分かった。』
あの陰険は、皇居内(勿論、宮内庁ではない方の)ネットワークへのアクセス方法を、公開しやがった。
皇居内ネットワークへのアクセス手段は手に入るか、への答えは二つしかない。
手に入る、手に入らない。
この二つだけ。
公開しろ、とは誰も頼んでいない。
だから、
あの陰険は、学内で生き残れなかった。
(つづく)
詐欺師入門―騙しの天才たち その華麗なる手口 https://amzn.to/3zn0EfE