舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(34 議員インターンMの場合(五投目)。)
議員先生は深く溜息。
「『一つで天国、二つで地獄、三つであの世』だったか。」
「らしいですね。」
「なんで、...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(34 議員インターンMの場合(五投目)。)
議員先生は深く溜息。
「『一つで天国、二つで地獄、三つであの世』だったか。」
「らしいですね。」
「なんで、こんなもんに手を出す奴らが、この議員会館に何人も、何人も、出入りしてるのか!」
議員先生の怒りはごもっとも。
しかし、言うべきことは言おう。
「無能者を見分けられない議員がいるからです。」
議員先生は、目をきつく閉じ、歯切り一つ二つ。パッと目を見開き、ゆっくり深呼吸。そして、静かに口を開いた。
「その通りだ。」
議員先生は深く溜息。
この場をどう、繋ごうか。こういうとき、人間は妙な球を投げてしまう。
「見た目は黒いのに、ピンク、と呼ぶそうです。
背の高い、ピンク色の髪が売り捌いてるから、らしいです。」
「ほう、そうなのか。」議員先生は歯切り一つ。そして、「最初から最期すら事務所を搔き乱しやがって。」
この不穏な雰囲気を、どう取り繕えば……こういうとき、人間は妙な球を投げてしまう。
小さく手を挙げ、
「人事院の名簿に載ってます。」
と言ってしまった。
「それは知ってる。官庁訪問に行かず、こっちに来たこともな……秋には、決める。本郷か、寝坊か、は。」
なぜ、あの寝坊が、政策秘書に?
「知らんらしいな。
あいつ、公認会計士。だから、政策秘書になれる。
自動車関係のベンチャーをクビになったから、拾った。その昔は、学生プロボクサー。名古屋で、ちょっとした有名人。」
意外過ぎる脅威。
議員先生はニンマリ。
「まぁ、のど自慢大会に出た甲子園球児も、悪くはない。」
なぜ、知っている!
誰かが言った。
「警察の方が来られました。」
議員先生は「分かった」と応じ、警察の人たちに恭しく頭を下げる。
政界、怖すぎだろ。
(つづく)