舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(33 議員インターンMの場合(四投目)。)
「我々が教授を、蜂の巣にしました。方々にそうお伝えてください。では――」
「ちょっと、待ってください。ちょっと、待ってください...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(33 議員インターンMの場合(四投目)。)
「我々が教授を、蜂の巣にしました。方々にそうお伝えてください。では――」
「ちょっと、待ってください。ちょっと、待ってください。」
こういう予想外の球が来たとき、人間は妙な思い付きをしてしまう。
「なぜ、てるてる坊主や弁慶ではなく、蜂の巣に? ゴッドファーザー風味ですか?」
いつの間にか、背後に議員先生がいた。聞き耳立てている。
電話の相手、ちょっとウケた。
が、相手は気を取り直して、断言。
「見せしめ。
皇居に奴隷を差し出し続けた、子悪党たちへの見せしめ。」
「ところで、その奴隷はどうなっているでしょうか。」
「詳しくは知らない。皇居外にいる奴隷は、どれも脳死状態だろう。証拠隠滅のために。」
「証拠? 何を証明するための?」
「皇太子繁殖牧場。
しかし、あれは大失敗。だから、我々が失敗の責任を取らせている。
以上。
ゴッドファーザー風味、面白かった。」
電話が切れた。
振り返れば、議員先生はニコニコしている。肩をポンと叩かれた。
「君、歴史に名を残すぞ。」
ゴッドファーザー風味で?
議員先生はニコニコしたまま、続ける。
「至急、録音データの文字起こし。テキストファイルと音声ファイルは、地元の事務所に送信。それが終わったら、元・政策秘書のデスクを片付け、私物を実家に送れ。」
「元?」
議員先生の表情が消え、政策秘書のデスクの方を指さした。
パーティションの向こう側を覗くと、顔を横に向けた政策秘書がいた。目・口・鼻から血が流れ出ていた。恐る恐る首元を触ると、脈がない。細い腕の先には、割れた(投げて割った、ともいう)小瓶。
ピンク色の砂糖の中に、黒いカプセルが数個。
これ、本郷で見せられたことある。
「あの毒ですね。」