舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(32 議員インターンMの場合(三投目)。)
政策秘書は頭を下げたまま、続けた。
「塩と砂糖、間違えてました。申し訳ありません。」
政策秘書は頭を下げたまま、更に続...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(32 議員インターンMの場合(三投目)。)
政策秘書は頭を下げたまま、続けた。
「塩と砂糖、間違えてました。申し訳ありません。」
政策秘書は頭を下げたまま、更に続けた。
「塩の空瓶に、ピンク色の砂糖を入れてました。」
議員先生は、溜息一つ。
「やっぱりそうか。
甘い香りだったからな。甘い物で頭痛出る奴への、随分な嫌がらせだったな。」
「……」
「まあ、あの陰鬱な雰囲気を、吹き飛ばしてくれた。感謝する。」
政策秘書は更に深々と頭を下げ、回れ右。自席に戻った。
そうだ、ゼミの先生に連絡。
議員先生に一礼、回れ右。自席に戻ろうとした。
議員先生は、
「今から、独り言を言うぞ」
大きな声で宣言。
大きな独り言を放った。
「あの先生、愛人がいるらしいなぁ。相手は院生で――」
その噂、聞いたことある。
「そのきょうだいは、政策秘書をしているらしい。」
まさか?
「起案は上手いが、砂糖と塩を間違える。」
大きすぎる独り言、怖っ。
「あの先生は今の天皇に、『人形』を数体、差し出した。端正な顔立ちで、心臓が動く。
だから、あの先生は政権で重用され続けている。」
独り言が政権を壊す、のか?
「先生は『人形』献上する、と聞けば喜ぶだろう。
以上。」
議員先生の独り言は終わった模様。
自席に戻った。
パーティションの向こう側からは、何の気配もない。まるで屍のようだ。
そんなことより、電話電話。
私用の端末で先生に、電話を掛ける。
十三コール目でやっと出た。
しかし、先生の声ではなかった。
野太い声だった。
「教授に用事のある方ですか。」
通話録音モード&スピーカーモードに変えて、
「はい。ゼミでお世話になっています」
「先生は先程、亡くなられました。」
「はい?」
(続く)