舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」
(30 議員インターンMの場合(一投目)。)
午前十時半、机のパーティションの向こうから細い腕(政策秘書の腕)が襲来。手には……
「コクラ・マーガリンパン、ですか。」...
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(30 議員インターンMの場合(一投目)。)
午前十時半、机のパーティションの向こうから細い腕(政策秘書の腕)が襲来。手には……
「コクラ・マーガリンパン、ですか。」
「お・ぐ・ら・マーガリンパン。
寝坊くんからの差し入れ。食べれば、名古屋に里帰りできるぞー。」
「生まれも育ちも、さいたま。なんですけど……」
パーティションの向こう側から、殺気。
なので、
「食べ物は、粗末にできませんね。」
と受け取った。
これは、ペンディング。
ていうか。
おやつにコレは、ない。
お昼にはもっと、ない。
朝のニュースは、陛下の意識不明ばかり。
しかし、その後のTVは、通常通り。そして、経済新聞社お抱えの零細局に至っては、岩ガキの通販。
十キロという表記がなかったら、買ってた。危なかった。
それにしても、静かすぎる。
お騒がせ大臣経験者の爆殺すら、各局、テロップ一つで片づけた。岩ガキを割った瞬間に、爆殺テロップ。狙って打ったのか?
神宮から来た使者に至っては、まるで存在しないかのようだ。寝坊と同じリニアのはず、なのに……見てないのか。
あの寝坊は。
「改めて、ただいーま」と、議員先生のお帰り。議員先生の肩には、喪章。
「塩は?」 と、口を出してしまった。
細い腕が議員先生めがけて、塩のビンを投げた。
議員先生は、ビンをキャッチ。
「あの先生は今も、検視中。」
半笑いで、自身の頭に振りかける。
「だから、葬儀のマナーとしては、いらんのだ。けども――」
その振り方は、岩ガキにちょうど良い加減。
「あの議員事務所は、不幸に満ち満ちている。
良い判断だ。本郷のインターン。」
と、こっちに塩のビンを投げてきた。
何とかキャッチ。なかなかの剛速球。
(つづく)