#小説 「 #天皇制最期の日 」 (25　K 最高経営責任者(CEO)の場合(No.1)) 十時五分前、福岡天神の高層ビル(空港のせいで低いぞ)、リモート打ち合わせがやっと終わったぞっ。 今月も、大株主様、もとい、旧軽井沢の暴君に、こってり、もっこり、ぎっとり、絞られた。 あの企業さんの上場を機に、第一線を退いてくれて、本当に助かった。あんなのが博多駅からここに乗り込んできたら、今頃は屍の山だっ。 とはいっても、今日は殆ど出払っている。賃料回収に、建築事務所との打ち合わせに、銀行との交渉に、裁判所に。 数日前から東京に派遣している取締役からの音沙汰が、ない。寝坊ではないだろう。まさか…… 「AI秘書、ニュースはどうだっ」 AI秘書は、 議員爆殺(知らん奴だっ。東京も北九州化か?)。 天皇危篤(知りたいのは、天皇死んだ後の、あの土地の行方だっ。PMCちゃんと仕事してるのか?) 品川で銃撃戦(東京、ついに北九州化か?北九州出身だから、取締役は無事だろう)。 交通情報。新幹線運休、羽田空港、成田空港、茨城空港、調布飛行場、閉鎖中。首都圏の全高速道路通行止め(茨城……どこだ?)。 「ありがとな。AI秘書よっ。」 AI秘書はもう一つ、大切なことを伝えた。 末娘の誕生日。 あっ、……忘れてた(皇居再開発プロジェクトのせいだっ)。 鞄からファイルを引っ張り出し、あの書類を引っ張り出す。 『キャンプりょ行　申し入れ書』 A4紙二枚構成、手書き。 申し入れ者は「むすめ」で、名宛人は「おや」……まぁ、合ってる。 書道習っているからか、ペン筆書き。 「おや」より遥かに、上手い字。恐れ入る。 さてさて読み込むと…… (つづく) #福岡 #北九州 #皇位継承 #皇居 #再開発