舶匝(はくそう online_checker) on GETTR : #小説 「 #天皇制最期の日 」 (23 若手刑事J の場合(二)) 先輩は、いつの間にか、窓際の壁にもたれて、外を確認していた。還暦間際なのに、さすが元・忍者(テーマパークの)らしい振る舞い。 先輩に睨まれた。&#...
#小説 「 #天皇制最期の日 」 (23 若手刑事J の場合(二)) 先輩は、いつの間にか、窓際の壁にもたれて、外を確認していた。還暦間際なのに、さすが元・忍者(テーマパークの)らしい振る舞い。 先輩に睨まれた。 はいはい、伝えますよ。 客人に伝える。 「改めて確認しました。」 次の言葉は、なかなか口から出てくれない。 「率直に申し上げると……脳死状態です。まだ、脳死判定前ですが。」 客人の言葉は、ない。 その顔は、口から出てこないどころか、言葉が消えたかのよう。 先輩は、客人も睨んでいる。 はいはい、伝えますよ。伝えますよ。 「あなたの娘さんは、あるプロジェクトに関わっていました。 しかし、上手く行きませんでした。 依頼主は、手短に言えば、責任を取るように求めました。」 客人は溜息一つ。 「依頼主の名は……まぁ、明日から報道されるでしょう。」 先輩はもう、こっちを見ていない。 「依頼主の怒りを修めるため、そのプロジェクトチームは、あなたの娘さんを差し出しました。」 ここから先はまだ、色々と伏せるべきだろう。 「紆余曲折の末、最終的に脳死状態に陥り、胎児を生産する母体して利用されていました。」 客人は、端末を手にしようとした。 「ここでは使えません。電波暗室なので。」 客人は、端末の圏外表示を確認し、端末を閉まった。 「このフロアは、外部との連絡手段があの窓だけです。」 窓際の先輩が、カッコよさげに立っている。流石、元・アクション俳優(端役のみ)。 「カーテンを開けただけならば、脳死判定を受け入れない。 カーテンだけでなく窓も開けたならば、脳死判定を受け入れる。 そのように取り決めています。 如何にされますか。」 客人は大きく深呼吸。スッと立ち、窓に音もなく歩き、カーテンを開け、窓を開け、身を乗り出した。 マズイ! (つづく)
#小説 「 #天皇制最期の日 」
(23 若手刑事J の場合(二))
先輩は、いつの間にか、窓際の壁にもたれて、外を確認していた。還暦間際なのに、さすが元・忍者(テーマパークの)らしい振る舞い。
先輩に睨まれた。
はいはい、伝えますよ。
客人に伝える。
「改めて確認しました。」
次の言葉は、なかなか口から出てくれない。
「率直に申し上げると……脳死状態です。まだ、脳死判定前ですが。」
客人の言葉は、ない。
その顔は、口から出てこないどころか、言葉が消えたかのよう。
先輩は、客人も睨んでいる。
はいはい、伝えますよ。伝えますよ。
「あなたの娘さんは、あるプロジェクトに関わっていました。
しかし、上手く行きませんでした。
依頼主は、手短に言えば、責任を取るように求めました。」
客人は溜息一つ。
「依頼主の名は……まぁ、明日から報道されるでしょう。」
先輩はもう、こっちを見ていない。
「依頼主の怒りを修めるため、そのプロジェクトチームは、あなたの娘さんを差し出しました。」
ここから先はまだ、色々と伏せるべきだろう。
「紆余曲折の末、最終的に脳死状態に陥り、胎児を生産する母体して利用されていました。」
客人は、端末を手にしようとした。
「ここでは使えません。電波暗室なので。」
客人は、端末の圏外表示を確認し、端末を閉まった。
「このフロアは、外部との連絡手段があの窓だけです。」
窓際の先輩が、カッコよさげに立っている。流石、元・アクション俳優(端役のみ)。
「カーテンを開けただけならば、脳死判定を受け入れない。
カーテンだけでなく窓も開けたならば、脳死判定を受け入れる。
そのように取り決めています。
如何にされますか。」

客人は大きく深呼吸。スッと立ち、窓に音もなく歩き、カーテンを開け、窓を開け、身を乗り出した。
マズイ! (つづく)