#小説 「 #天皇制最期の日 」 (15 G の場合(前)。) 七時五十七分現在、監視カメラをカチカチ切り替えて、ラボ内の様子見てる。 画面の中に、買取屋らしき人影(パワードスーツ付けてるから、一目で分かる)。ジョギングウェアの上から白衣を羽織った研究員が、買取屋の応対してる。 ずいぶんと、親しげだなぁ。 社長の 「売れるものは売れ、表に出せないものは処分しろ」 という大号令以来、研究屋たちは、ずっと「悪事」の跡片付け。 白衣を着た山賊たちが、荒らし回ってる。 一方、SE屋はすること、ない(データ消去くらい、研究屋でもできる)。 このラボのシステムに侵入して、社長のデスクトップに履歴書を置いて以来、今まで、このラボのシステムに関わってきた。 入社後は、 「ついでだから」 とラボの入退室管理も任された。 「今日から、この城を護衛する門番になれ。」 それが、社長からの言葉だった。 なのに、この城が今、荒らされてる。 八時。 習慣は怖いもので、ネットワーク状況を確認していた。当然ながら、普段の比ではない。低調な使用量。 「売れるものは売れ。」 今なら、医科研との専用線も、使い放題。ならば、「その先」にも、入り込み放題。 だから、総長の口座番号も、出願前の特許申請も、天皇の電子カルテも、見たことある。 「売れるものは売れ。」 ならば……昔、出入りしてた「或るところ」に書き込んだ。 「東大の情報ネットワークへ、自由に入り込める権利売ります。学内関係者の全個人情報にも、極秘の知財にも、東大病院の天皇カルテ(凄い事が書いてあった)にもアクセス可能。」 と。 #東大 #天皇 #皇位継承