#小説 「 #天皇制最期の日 」 (4、 C氏の場合(前)。) 朝五時五十五分、名駅リニア線行きエレベーターに滑り込みっ! 今回は、間に合ったぞっ。 起きて、無人タクシー注文して、着替えて、家出て、靴忘れて、家に戻って、履いて、無人タクシーに乗って、でも、左右別々の靴で、気にせず、降りて、走って、走って、迷って、案内ロボに乗って(ぼったくり価格に負けた)、また、走って、、、もう二十代の頃には、戻れないけど、、、あー、足が笑ってる。 笑っちゃってるよー。 軽い敗北感を感じつつ、壁に寄りかかると、 「クルマを買いましょう」 などとふざけた広告。衰退企業が何をたわたけたことを! 今日の予定は、東京で朝食会。甲府に飛んで、挨拶回り。それから…… チンと鳴って、開くドア。 降りて、気付いた。 手土産の赤福、買い忘れるところだった。 まだ笑ってる足にふらかされながら、自販機のモニター(どうみても百インチモニターの流用)にへばり付く。 「赤福、十ケース。あと、いつものお茶一本。」 「かしこまりました。ついでに、小倉マーガリンパンは、いかがですか」 「それもお願いします。」 さすがAIさん、全部、見抜いてる。 足の大爆笑が収まってきた。さすが、三十代。 取り出し口から出てきた大きな紙袋(紙袋なのに半透明、これ如何に)抱えて、いつもの四号車の乗り場に歩き始めた。 やっと気づいた。 誰も、いない。 「ちよっと身分証、宜しいですか」 振り返ると、PMC従業員。背中に小銃。こんな場所で使えるのか? ていうか、困ったなぁ……毎日、顔パスで生活してる。改札も、さっきの自販機も。 だから、議員会館の通行証すら持ってないぞ。 PMC従業員のガチで厳ついた顔。 毎朝、ラジオ体操のついでに小銃、撃ってそうな顔だなぁ。 いや、待てよ。 (続くよ) #天皇